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IIIF絵巻物をAI動画で動かす:Video Annotationという新しいアプローチ

IIIF絵巻物をAI動画で動かす:Video Annotationという新しいアプローチ

はじめに IIIF(International Image Interoperability Framework)は、デジタルアーカイブの画像を相互運用可能な形で公開するための国際標準です。世界中の図書館・博物館が採用しており、高解像度画像の深層ズームや、異なる機関のコレクションを横断的に閲覧することを可能にしています。 本記事では、IIIF画像の一部領域にAI生成動画を重ねて表示する「IIIF Animated Viewer」を開発した過程を紹介します。題材は東京大学が公開する「百鬼夜行図」――妖怪たちの行列を描いた絵巻物です。 静止画の妖怪たちが、ゆらゆらと動き出す。そんな体験を、IIIF標準の枠組みの中で実現しました。 狙い 1. 絵巻物に「動き」を与える 絵巻物は本来、巻きながら読む動的なメディアです。右から左へ進む行列、風にはためく衣、揺れる炎――静止画でありながら動きを内包しています。AI動画生成でその潜在的な動きを顕在化させることで、作品の新しい鑑賞体験を提供できるのではないか、という着想がありました。 2. IIIF標準に準拠する 独自フォーマットではなく、IIIF Presentation API 3.0のマニフェストとして動画情報を記述します。これにより、他のIIIFビューアとの互換性を保ちつつ、既存のIIIFエコシステムに乗る形で動画アノテーションを提供できます。 3. 汎用的なパイプラインにする 百鬼夜行図だけでなく、他のIIIF資料にも適用可能な仕組みを目指しました。マニフェストのメタデータと全体画像からコンテキストを自動生成し、個別領域のプロンプト生成に反映するアーキテクチャにしています。 デモ デモは GitHub Pages で公開しています。 コレクション一覧ページ。IIIFコレクションからマニフェスト一覧を読み込み、サムネイル付きで表示する。 ビューア全体表示。百鬼夜行図の全体像がOpenSeadragonで表示され、下部に再生ボタンがある。 ズームすると個々の妖怪が確認でき、動画オーバーレイが元画像の上に重なって表示される。 システム構成 docs/ … GitHub Pages公開ディレクトリ index.html … コレクション一覧ページ viewer.html … OpenSeadragon + 動画オーバーレイビューア collection.json … IIIF Collection manifest.json … IIIF Manifest(動画アノテーション含む) runs/run_002/ … 生成動画ファイル scripts/ pipeline.py … 一括生成パイプライン process_raw.py … Veo生成動画のトリミング+manifest更新 workspace/ anno.json … 領域アノテーション(19件) context.txt … 自動生成コンテキスト runs/ … 中間データ(クロップ画像、プロンプト等) IIIFマニフェストでの動画アノテーション 従来のIIIFアノテーション IIIF Presentation API 3.0では、Canvasに対するアノテーションとして画像を配置します。 ...