はじめに
デジタルアーカイブの世界では、画像だけでなく、音声、動画、3D モデルなど多様なメディアを統一的に閲覧できる仕組みが求められています。IIIF(International Image Interoperability Framework)は、こうしたデジタルコンテンツの相互運用性を実現するための国際的な標準仕様です。
本記事では、IIIF に完全準拠したオープンソースのマルチメディアビューア Universal Viewer(UV) を紹介します。
Universal Viewer とは
Universal Viewer は、IIIF マニフェストを読み込んで、画像・音声・動画・3D モデルなどのデジタルコンテンツを表示するための Web ベースのビューアです。MIT ライセンスで公開されており、世界中の図書館・博物館・大学で採用されています。
英国図書館(British Library)をはじめ、多くの主要文化機関がコレクションの公開に Universal Viewer を利用しています。
主な機能
マルチメディア対応
Universal Viewer の最大の特徴は、単一のビューアで複数のメディアタイプに対応していることです。
- 画像 — OpenSeadragon を利用した高解像度画像のズーム・パン
- 音声 — 音声ファイルの再生とタイムライン表示
- 動画 — 動画コンテンツの再生
- 3D モデル — Three.js による 3D オブジェクトの表示と操作
- PDF — ドキュメントの表示
IIIF 完全準拠
IIIF Presentation API および Image API に完全対応しています。IIIF マニフェスト URL を指定するだけで、メタデータや構造情報を含むリッチなビューイング体験を提供します。
サムネイルパネル
コレクション内の全ページ・アイテムをサムネイルで一覧表示し、目的のページに素早くアクセスできます。大量のページを持つ書籍や写真コレクションの閲覧に便利です。
ダウンロード機能
閲覧中のコンテンツを各種サイズ・フォーマットでダウンロードできます。研究者が必要な画像を取得する際に役立ちます。
多言語対応
インターフェースは多言語に対応しており、日本語を含む多数の言語で利用できます。
導入方法
Universal Viewer は npm パッケージとして提供されています。
npm install universalviewer
また、CDN 経由で HTML に直接埋め込むこともできます。IIIF マニフェスト URL を指定するだけで、すぐにビューアを表示できます。
<div class="uv" data-uri="https://example.org/manifest.json"></div>
DH における活用例
デジタルコレクションの公開
図書館や博物館が所蔵するデジタル化資料を、Universal Viewer を通じて Web 上で公開できます。利用者はブラウザ上で高解像度画像をズームしたり、複数ページの書籍をめくるように閲覧したりできます。
教育・研究での利用
古文書や美術作品のデジタル画像を授業や研究で活用する際、Universal Viewer を組み込んだ Web ページを作成することで、インタラクティブな教材を構築できます。
IIIF エコシステムとの連携
Universal Viewer は IIIF に準拠しているため、IIIF 対応の他のツール(Mirador、IIIF Curation Platform など)と組み合わせて利用できます。一つの IIIF マニフェストを異なるビューアで表示するといった柔軟な運用が可能です。
他のビューアとの比較
Universal Viewer は「マルチメディア対応」に強みがあります。画像だけでなく音声や動画、3D モデルにも対応しているため、多様なコンテンツを持つ機関に適しています。
一方、画像の比較分析に特化した用途では Mirador の方が適している場合もあります。用途に応じて使い分けるとよいでしょう。
まとめ
Universal Viewer は、IIIF に完全準拠したマルチメディアビューアとして、デジタルアーカイブの公開・閲覧に欠かせないツールです。画像だけでなく、音声、動画、3D モデルにも対応しており、世界中の文化機関で広く採用されています。MIT ライセンスのオープンソースソフトウェアとして、自由に導入・カスタマイズが可能です。